日本政策金融公庫と信用保証協会の創業融資額に関する相違
日本政策金融公庫は、資本金の2倍の額を創業融資します。
従って、資本金が少ない場合は、その少ない金額の2倍しか創業融資は受けられないと考えるべきです。
但し、上限は1,000万円(無担保無保証人制度の場合)です。
創業融資の限度額は、各信用保証協会によって上限額が異なりますが、
信用保証協会は、厳しい条件をクリアすれば、資本金よりも遥かに大きな金額の融資を受けることが可能です。
例えば、当事務所では、資本金が30万円程度でも、1,500万円の創業融資を受けられたケースが実在しています。
創業融資限度額は、各信用保証協会により異なりますが、神奈川県信用保証協会の場合は1,500万円(実務経験がある場合2,000万円)です。R4.4.1現在
但し、誤解しないで欲しいのですが、信用保証協会の方が日本政策金融公庫より創業融資に適しているというわけではありません。
確かに日本政策金融公庫は、資本金の2倍の額の創業融資が基本ですが、自らが銀行と信用保証協会の一人二役を果たすことができるため、貸出金利を年1%程、低くすることができるのです。
凄い恩恵です。
日本政策金融公庫と信用保証協会との「担保」に関する考え方の相違
人がお金を貸すときは、「担保」というものを通常必要にします。
つまり、その人が、お金を借りて返済できなくなったとき、「借金のカタ」となるものを必要とするのです。
すなわち、「担保」には、主に抵当権を設定できる高価な「不動産」と、経済力のある第三者の「保証人」が選択されるのが通常です。
皆さんが、お金を人に貸すことを考えてみてください。
「担保」無しにお金を貸せますか?
答えは、NOだと思います。
しかし、創業融資に関しては、この当たり前の「担保」を要求されず、「無担保無保証制度」を利用することができます。
それは、日本政府の国策として、経済復興のため「起業家支援」をする必要があるので、創業融資に特別な恩恵を付与しているのが理由です。
つまり、創業融資には「担保」が必要ないのです。
しかし、実際に創業融資に携わる国民生活金融公庫と信用保証協会とを比較した場合、この「担保」に関する捉え方に大きな相違点があるのです。
日本政策金融公庫が、資本金の2倍しか創業融資を行わない理由は、
「資本金が担保であり、連帯保証人である」
という、斬新な考え方に根ざしているからです。
従って、日本政策金融公庫の創業融資は、本物の無担保無保証人で、代表者すら連帯保証人から外すことが可能なのです。
一方、信用保証協会の融資は、資本額に束縛されないため、別の担保を必要とします。
それは、「創業者自身」です。
信用保証協会における「無担保無保証人」とは、担保を取らず、創業者以外の第三者を連帯保証人としないのが「無担保無保証人」という考え方に基づいているのです。
信用保証協会の創業融資は、自分の事業に自信があれば、資本金額が少なくても、友人・知人等を巻き込むことなく、自分の信用とビジネスプランで大きな創業融資を可能にするチャンスがあるのです。
創業融資制度としてどちらの公的融資機関が優れているとはいうことはできません。
自分の調達できる自己資本の額とビジネスプラン、必要資金額を総合してどちらの公的融資機関を利用するか決定するのが良いと思います。