75歳以上の年金支給制限-理不尽な年金制度

現在、日本では安倍政権の頃から高齢者を労働力として投入しようと政府はしているのが現状ですが、最近、理不尽な制度設計が問題になった事例があるので指摘します。
具体的には、76歳の高齢者が建設現場の施工管理者として60万円程度を残業代込みで働いていたケースです。
この高齢者は、4月、5月、6月と残業時間込で平均60万円を稼いでいたため、これまで受給していた老齢厚生年金が支給停止額(50万円)を超えてしまったので9月から減額されてしまうこととなりました。

この減額自体は別に問題はありません。
この支給停止の趣旨は、「これだけ現役世代以上に収入があるなら、年金を減額したって生活できるよね」という趣旨なので、年金が生活保障の制度であることを考えれば妥当と考えても構いません。

ところがここからが問題だったのです。
高齢者は、体調が悪くなる場合が他の年齢層の労働者に比べて増えるのは当然ともいえるのが現在の状況のはずです。
この高齢者も身体の調子が悪くなり1箇月職場を休むことになりした。

これが問題でした。

普通、75歳未満であれば、健康保険に加入しているので、休業期間は傷病手当金等の支給がされて守られるのですが、この高齢者は75歳以上なので、既に健康保険から後期高齢者医療保険に移行しているので、傷病手当金という制度がありません。

しかし、それだけですみませんでした。

一番の問題は、休職中であっても、退職しない限り老齢厚生年金の支給停止が続くという理不尽な状態が発生しました。

そもそも、老齢厚生年金の支給停止の制度は、現役世代以上の給与がもらわれていることが条件のはずです。
ところが、休職中は働いていないので給与がもらえません。
しかし、老齢厚生年金は減らされたままなのです。

結局、その高齢者は、「老齢厚生年金が減額されるくらいなら、会社を辞めて失業給付をもらいます。」と言って会社を辞めざるを得ませんでした。

この事例は、せっかく元気で現役並みに働ける高齢者を政府の年金制度に対する不備で働く意欲を減退させているようにしか思えません。

今後の年金制度として、75歳以上の高齢者が休職した場合、休職届を提出することにより、休職中(但し給与がもらえない場合に限る)は、老齢厚生年金の支給停止が解除される等の制度改正をするべきです。

日本は超高齢社会なのです。高齢者も政府の方針で働かせないといけないのであれば、このような働ける高齢者に不平等な制度は、すぐにでも改正するべきだと思います。

理不尽極まりない。